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Vol.24 2023年2月13日発行

下手の幸い

Vol.24 2023年2月13日発行

相変わらず肌に澄んだ冷たい空気が染みますが、気がつけば今年も弥生を迎えようとしています。昨年後半からわくわく秋まつりもクリスマス会もお餅つきも課題を乗り越えて、多様な人が集い、ひとつになることに湧くことができました。

さてそのビッグイベントや日々の生活の中で失敗から再起が叶ったり、失くしものが出てきた時の安堵や喜びを幸せと呼ばずして何と呼ぶ。そして振り返ると、そこに分かってくれる人手を差し伸べてくれる人がいた幸いに気づきます。
 災害ユートピアとまでは言いませんが、日々の小さなストレスを不のベクトルとして固定するか、しなやかに向きを変えていけるか、ホモサピエンスが生き延びた幸いは下手と粗忽に習うことが大いにあります。

 スピノザは著書エチカの中で大きくは善も悪も組み合わせなんだと説きます。
 しかし時代はそんな深い力をつける機会を、みんなと一緒じゃないと可哀そうだから、よかれと思って、重症化すると怖いから・・・と。先回りして大切な理を手放そうとしており、むしろ推奨しています。

生きる力をつけろ 完璧になれひとりで全部。

アリエナイ・・・ 

 昔々、傘を忘れていった子に玄関に残されていた傘を届けず迎えにも行かなかったお母さんがいました。お母さんはお風呂を沸かして「おかえり」と温かく子どもを迎えましたとさ。
 こどもは学校の置き傘を拝借してくるかもしれない。普段親しくなかった友達が傘に入れてくれるかもしれない。雨宿りで会話が始まるかもしれない。不審者が声をかけてくるかもしれない。見知らぬ人が傘を貸してくれるかもしれない(葭田の場合)。ずぶ濡れで帰ってくるかもしれない。
 
 自分で受け入れ、切り拓く応用編があるから人生は退屈しないのだと思います。

往ぬる一月逃げる二月去る三月春には大切な仲間が巣立っていきます。
 こどもから目と心は放さず、大海に漕ぎ出す後ろ姿を見送りたいと思います。

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